Raspberry Pi INDI System⓪

はじめに


1. 統合天体観測システム

本システムは、屋外で天体観測を楽しむための統合天体観測システムです。カードサイズの小型コンピュータRaspberry Pi 5 を中核に、観測機器の制御と運用を行います。

Raspberry Pi 5は司令塔として機能し、INDI (Instrument Neutral Distributed Interface) の通信プロトコルを用いて、赤道儀(ここではOnStep)を制御します。INDIは多様な機器に対応しており、柔軟な拡張性を備えています。
さらに、KStars/EKOS といった高機能なプラネタリウム・観測制御ソフトと連携することで、自動導入や高度な観測支援が可能です。

また、Windows PCからVNC接続を介してRaspberry Pi 5のデスクトップを操作できるため、車内など離れた場所から無線で望遠鏡を制御するができます。

このページでは、Raspberry Pi 5のセットアップから、ネットワーク設定までを紹介していきます。

自分のスタイルに合わせて「育てるシステム」

本システム最大の魅力は、その高い汎用性と拡張性にあります。 自作プログラムとの統合にも対応しており、撮影の自動化、データ管理、画像処理など、必要に応じて機能をどこまでも拡張していくことができます。

なお、本サイトで別記事として紹介している「OrionFieldStack」は、著者がこのシステムでの運用を最適化するために独自に開発を進めているプログラム群です。
最近のAIを使ったプログラミングを活用することで、オリジナルのプログラムを作っていく上活用できるベースになります。

対応する赤道儀について: INDIプロトコルは、Sky-WatcherやiOptronのほか、本サイトでも使用している自作系赤道儀コントロールシステム「OnStep」などに幅広く対応しています。(※残念ながら、現時点でVixenやタカハシの一部の赤道儀には対応していません)


2. システム構成

2.1 ハードウェア構成

フィールドでの煩雑な準備作業を最小限にし、スムーズな運用できることを優先し、システムを構成しています。
Raspberry Pi 5 を Wi-Fi アクセスポイントとして構成し、そのネットワークに Windows PC と OnStep の SWS をクライアントとして接続します。
さらに、Raspberry Pi 5 と OnStep は USB で接続され、INDI を介して通信・制御を行います。


自宅では Raspberry Pi 5 をインターネットに接続することが多いため、観測システムにはローカル Wi-Fi、ホームネットワークには有線 LAN を割り当てます。LAN ケーブルを挿すだけでインターネットに接続でき、同時に観測用の Wi-Fi ネットワークも維持できるので、準備やデータ転送をスムーズに行えます。

ハード ウェアRaspberry PI 5 (8G)
OSRaspberry Pi OS (64-bit) Trixie
リリース日時 25-11-24

以下に、ネットワーク環境の一覧を示します。あくまでも一例なので、必要に応じて修正してください。

🌌フィールド運用時🏠自宅運用時
RPi 5wifi アクセスポイント名FieldAPFieldAP
wifi IPアドレス192.168.50.1
(アクセスポイント)
192.168.50.1
(アクセスポイント)
インターネット接続切断イーサネット(有線 LAN)経由
Onstep SWSwifi接続先FieldAPFieldAP
wifi IPアドレス192.168.50.20192.168.50.20
Windows PCWifi 接続先FieldAPFieldAP
Wifi IPアドレス192.168.50.100192.168.50.100
インターネット接続USBデザリング経由 などイーサネット(有線 LAN)経由 など

2.2 ソフトウェア構成

以下は使用するソフトウェアの一覧です。すべてオープンソースで、無料で利用できます。

INDI
デバイス制御・通信プロトコル望遠鏡・カメラ・フォーカサー・フィルターホイールなど、さまざまな天体観測機器を制御するためのオープンソースの通信プロトコルです。INDIはLinuxベースで動作し、Raspberry Piのような軽量なコンピュータでも快適に運用可能です。
KStarsプラネタリウムソフトLinux・Windows・macOSで動作するフリーの高機能なプラネタリウムソフトで、リアルタイムの星図表示や天体情報の検索、望遠鏡の自動導入などが可能です。
Ekos観測自動化・機器制御モジュールKStarsに組み込まれている、観測自動化・機器制御モジュールです。INDIを通じて望遠鏡・カメラ・フォーカサー・オートガイダーなどの観測機器を制御することができます。
PHD2オートガイドソフトオープンソースのオートガイドソフトです。 画像を解析し、赤道儀の追尾をリアルタイムに補正します。 Raspberry Pi 上でも軽快に動作し、Ekos/INDI を介して OnStep などの赤道儀と通信できます。

3. 自動インストール

次章から、マニュアルインストール方法を説明しますが、Raspberry Piの設定に関しては、自動化するためのシェルスクリプトを作っており、GitHubで公開しています。
voyager3stars/OfsPiBase
基本的に、この天文観測システムは、Raspberry Pi5をこの天文観測システム専用と使うことを想定しています。Raspberry Pi OSをクリーンインストールした状態から、実行してください。